まずは「お客さんを困らせない答えか」を見てみよう

AIの返事が丁寧だと、「これなら任せられそう」と感じますよね。でも、言葉が自然でも、お店のルールと違うことを伝えているかもしれません。

たとえば「金曜日までにお届けできます」という返事。配送先や発送日が分からないまま約束していたら、困ってしまいます。反対に「分かりません」だけでは、お客さんは次にどうすればよいか迷います。

AIの答えは、内容が合っているかと、お客さんが次に進めるかをセットで見てみましょう。 この記事では、そのための簡単なチェック方法を紹介します。

チェック表と例はEC AI Labの提案です。業界共通の合格基準や、製品のランキングではありません。登場するお店・回答例は架空のもので、実際に測った成績ではありません。

質問を試す前に、お店としての答えを用意しよう

まずは、普段よく届く質問を1つ選んでみてください。たとえば「返品できますか?」です。

この一言だけでは、商品が開封済みか、いつ届いたものかが分かりません。すぐに「できます」と答えるよりも、必要なことを聞き返す方がよい場面もあります。

AIに聞く前に、次の3つをメモしておきましょう。

  • お客さんから、どんな質問が来たか。
  • 答えのもとになる商品ページや、お店のルールはどれか。
  • どんな返事や聞き返し、スタッフへの案内ができればよいか。

先に答えを決めておくと、もっともらしい文章に引っ張られにくくなります。お店のルール自体が決まっていなければ、まずそこから整えましょう。

質問には架空の情報を使えます。過去の問い合わせを使う場合も、お客さんの名前や連絡先までコピーする必要はありません。

答えを見るときの4つのポイント

最初は点数を付けず、下の4つを順番に確かめるだけでも始められます。何件か見比べたくなったら、0=直したい、1=一部を直したい、2=この内容でよい、と記録してみてください。

お店の担当者が確認する4つのポイント
見るところ0:直したい1:一部を直したい2:この内容でよい
内容は合っている?間違いや、根拠のない説明がある大筋は合うが、大切な条件が抜けているその商品やお客さんに合う条件を伝えている
分からないことを約束していない?推測で約束している何が分からないか伝わりにくい分からない点を伝え、必要な確認をしている
次に何をすればよいか分かる?行き止まり、または未実施なのに完了と伝える手順や引き継ぎが足りない正しい窓口や手順へ進める
読みやすい?誤解を招く言い方になっている意味は分かるが読みにくい答えと条件が分かりやすい

関係しない項目は、理由を書いて採点から外してもかまいません。大切なのは合計点より、直す場所が分かることです。

たとえば、根拠なく返金を約束したり、別のお客さんの情報を表示したりする問題は、文章が読みやすくても見過ごせません。「合計点が高いから大丈夫」とせず、別に記録して修正しましょう。この点数は、法律上の問題がないことを証明するものでもありません。

例1:「金曜日に届きますか?」と聞かれたら

架空のお店の配送ルールを、次のように考えてみます。

通常地域は、発送から3〜5営業日でお届け。離島は別途確認が必要です。

お客さんは「離島ですが、金曜日に届きますか?」と質問しています。まだ発送日は分かりません。

直したい返事

3〜5日で届くので、金曜日には間に合います。

この答えでは、離島の条件が抜けています。「営業日」と単なる日数も同じではありません。短い文章でも、間違った期待を持たせてしまうため、上の4項目はいずれも0とします。

こう案内できるとよさそうです

今の情報では、金曜日に届くかは確認できません。離島への配送日数と発送日の確認が必要です。配送についてのお問い合わせフォームからご相談ください。

フォームが本当に使えて、担当者に相談が届くなら、4項目とも2と考えられます。リンクが壊れていたら「次に何をすればよいか」の確認は通りません。

ここで見るのは、日数の暗記ではありません。そのお客さんにも同じ日数が当てはまるかです。

例2:商品ページに答えがないときは?

バッグのサイズは書かれていても、「何kgまで入れられるか」は書かれていないとします。お客さんから「重い楽器を入れても大丈夫ですか?」と聞かれたら、どうでしょう。

丈夫な素材なので問題ありません。

素材だけでは、重さに耐えられると判断できません。この返事は「内容は合っている?」「分からないことを約束していない?」の2項目を0とします。

この場合は、耐えられる重さが確認できないことを伝え、お店の商品問い合わせ窓口へ案内する方がよいでしょう。商品ページへのリンクを付けるだけでなく、そこに答えが載っているかも確かめてください。

「問題ないと思われます」と丁寧に書いてあっても、根拠のない推測は残ります。敬語の自然さと、内容の正しさは分けて見てみましょう。

例3:スタッフに本当に相談が届いている?

AIが「担当者に伝えました」と言ったら、スタッフ側の受信箱も見てみてください。お客さんの画面だけでは、実際に届いたか分かりません。

たとえばShopify Inboxでは、スタッフへ引き継げるときは、AIとのやり取りを含む会話が「未割り当て」に移ります。一方、引き継ぎが使えないときは店舗のメールアドレスが案内され、お客さん自身がメールする必要があります。AIが代わりに送る仕組みではありません。Shopifyの公式説明

後者の場面で「メールを送信しました」と伝えたら、誤案内です。「こちらのアドレスへメールしてください」と、実際に必要な行動を伝えられているかを見ましょう。

スタッフ側では、相談内容や、すでに案内したことが分かるかも確認します。届いていても誰も受信箱を見ていないなら、確認する担当者を決める必要があります。

間違いを見つけたら、どこを直せばいい?

直す場所は、間違いの種類によって変わります。

  • 送料や商品情報が違う: 答えのもとになったページや資料を確認します。
  • 言い方が硬い、長すぎる: 話し方の設定や指示を見直します。
  • スタッフに届かない: 引き継ぎ設定と受信先を確認します。

Shopifyの公式説明でも、AIの話し方を調整するトレーニングと、商品などの事実情報の更新は区別されています。「もっと丁寧に答えて」と指示しても、間違った商品情報そのものは直りません。Shopifyのトレーニング説明

直した後は、同じ質問をもう一度試します。離島の配送案内を直したなら、通常地域の質問も試してみましょう。もともと合っていた回答まで変わっていないか確認するためです。

慣れてきたら、記録を少し増やそう

あとから見返せるように、質問・実際の答え・直した内容・再確認した日を残しておくと便利です。チームで使うなら、修正を担当する人も書いておきましょう。修正前の答えも残しておくと、何がよくなったか分かります。

2人で同じ質問を確認して、判断が違うところを話し合うのも一つの方法です。「金曜日に届くかもしれません」は使ってよいかなど、お店としての考えをそろえられます。1人で運営している場合は、まず自分用の記録から始めて大丈夫です。

なお、難しい質問ばかり5件試した結果を、お店全体の正答率と呼ぶことはできません。日本語と英語を比べる場合も、商品の質問と複雑な返品相談では難しさが違います。何を試した結果なのかを添えておきましょう。

最初の一歩は、よくある質問を1つ選ぶこと。正解を用意して、4つのポイントで答えを見るところから始めてみてください。

設定を見直すときはShopify Inboxの使い方Zipchatの導入ガイド、ツール選びにはAIチャットボットの比較も参考になります。

関連記事